比誘電率・誘電正接試験 円筒空胴共振器法(TE011法)

概要

絶縁体は電気機器の回路基板に用いられますが、誘電特性は電気回路の設計や電力の設計に必要なパラメータです。比誘電率・誘電正接試験(円筒空胴共振器法(TE011法))は共振器内部の電磁界計算から材料の誘電特性を評価する方法です。TE011法はマイクロ波帯からミリ波帯の評価に適した方法であり、コプレナ線路に用いる基板材料などの特性評価に有効です。

試験方法と測定例

原理

ストリップラインや導波管といった伝送線路を伝搬する電波の速さや電気的損失の特性はその線路の構成や線路を構成する材料の材料定数(誘電特性、透磁特性)により決定します。

このため、測定したい試料を含む伝送線路の特性を測定することにより、試料の誘電特性の測定を行うことが可能です。

伝送線路の伝送特性を測定する方法の中で、共振器法は特異点を測定することにより非常に精度の高い測定が可能な方法です。

円筒空胴共振器法は円筒状の導波管を用いた共振器を使い、試料未挿入時および試料挿入時の共振特性(共振周波数、Q値)を測定し、試料の比誘電率、誘電正接を算出します。

図_TE011モード共振器内部の電磁界と試料の形状及び誘電率の算出式(摂動法の場合)

特微

  • GHz帯域における物質の誘電特性を測定することができます。
  • 高温、低温での評価も可能です。

測定範囲

  • 温度:-40~120℃
  • 測定周波数:1GHz~40GHz(ベクトルネットワークアナライザ)

測定例

12GHzにおけるフィルムの誘電周波数特性

試料未挿入時および試料挿入時の共振特性(共振周波数、Q値)を測定し、その差から比誘電率、誘電正接を算出しました。

表_フィルムの厚み別誘電周波数特性
グラフ_共振特性測定結果

用途

比誘電率・誘電正接の測定

サンプルサイズ

大きさ100mm×130mm(標準)、厚さ2mm以下

規格例

JIS R 1641 「ファインセラミックス基板のマイクロ波誘電特性の測定方法」

ASTM D 2520 「Standard Test Methods for Complex Permittivity (Dielectric Constant) of Solid Electrical Insulating Materials at Microwave Frequencies and Temperatures to 1650℃」

お問い合わせ CONTACT

当社へのご相談・ご質問がございましたら、お気軽にこちらからお問い合わせください。

WEBでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

営業部
03-5462-7051
関西営業部
072-977-2065

関連試験のご紹介

同軸線路共振器法を用い、比誘電率、誘電正接を測定します。板、ブロック状に対し、100MHz~1GHz帯に対応しています。

トリプレート線路共振器の共振特性を測定し、比誘電率及び誘電正接を算出します。1GHz~25GHz帯に対応しています。

比誘電率・誘電正接試験 トリプレート線路共振器法 JPCA-TM001

JPCAーTM001に規定されたトリプレート線路共振器法で比誘電率及び誘電正接を測定します。

規格・試験法
JPCA-TM001

円筒状の導波管を用いた共振器を使い、試料未挿入時および試料挿入時の共振特性を測定し、比誘電率、誘電正接を算出します。

1GHz~5GHz帯に対応しています。

円筒状の導波管を用いた共振器を使い、試料未挿入時および試料挿入時の共振特性を測定し、比誘電率、誘電正接を算出します。

電界の向きがほぼ一様な位置に試料をセットすることで、特定の方向の誘電特性が測定できます。

対向した凹面鏡を用いたファブリペロー共振器は非常に低損失である特徴を持ち、ミリ波帯で高精度な比誘電率及び誘電正接を測定します。

規格・試験法
JIS R 1660-2

円板状のストリップ回路を用いた共振器を使い、共振特性を測定し、比誘電率および誘電正接を算出します。

50GHz~90GHz帯に対応しています。

規格・試験法
JPCA-FCL01

無限長さの導波管を模した共振器を使い、共振特性を測定し、比誘電率および誘電正接を算出します。

75GHz~90GHz帯に対応しています。

規格・試験法
JIS R 1660-1