温度変調示差走査熱量測定(MDSC)
概要
高分子材料では、温度により急に柔らかくなったり大きく物性が変化する温度域があり、材料を選定する上で熱物性を把握することが特に重要になります。MDSC法は、従来のDSCでは分離できなかった同一温度域の複数の現象を独立して観測する方法です。ガラス転移とエンタルピー緩和などの反応が重なっている場合など、それぞれを分離することが可能になり、正確なガラス転移温度を測定することが可能です。
試験方法と測定例
原理
DSCは、試料と基準物質の温度を一定のプログラムによって変化させながら試料と基準物質の温度を測定し、試料の状態変化による試料と基準物質の温度差の変化を捉えることで様々な熱物性を測定する方法です。
MDSCは、一定周期で正弦波的に加熱と冷却を小規模に繰り返しながら、平均的には一定の速度で昇降温させる温度変調制御をすることで、測定した熱流束から重複する転移を可逆成分と不可逆成分に分離して解析可能にする方法です。
(日立ハイテクサイエンス社製)


特徴
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ガラス転移とエンタルピー緩和などの反応が重なっている場合など、それぞれを分離することが可能になり、精度と分解能が向上します。
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硬化反応/ガラス転移温度の分離も可能です。
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比熱測定が一度のサンプル測定で算出可能になります。
測定範囲
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測定温度域:-80 ~ 500℃
測定例
- 測定条件
- 昇温速度:5℃/min
周波数(周期):0.02Hz(50s)
温度振幅:±3℃
サンプル重量:約12mg

用途
ガラス転移温度、融解、結晶化、硬化反応など熱物性の測定
サンプルサイズ
固体、液体、ゴム、フィルムなど 10mg程度
規格例
JIS K 7121 「プラスチックの転移温度測定方法」
JIS K 7122 「プラスチックの転移熱測定方法」
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