動的引張粘弾性試験:粉体、溶液中での測定

概要

プラスチックは弾性体と粘性体の両方の性質を持つ粘弾性と言われる特徴的な挙動を示します。粘弾性を有することにより、力学的性質において温度と時間に強く依存するため、それらの特性を理解することは非常に重要です。動的引張粘弾性は固体状試験片の引張方向に一定の微小ひずみ振幅を正弦波で与えたときに材料から応答される荷重を測定し、粘弾性特性を評価する方法です。

試験方法と測定例

原理

一定の繰り返し刺激(正弦波)を物体に与え、発生する応力を測定し、力とひずみの関係から物体の動的粘弾性を測定します。

特微

  • 温度依存性測定を行うことで、機械特性の温度変化、ガラス転移温度などの情報が得られます。
  • 周波数と温度を変化させることでマスターカーブを作成することが可能です。
  • これらのデータをCAEなどを用いて解析することにより、材料の長期的挙動を予測することが可能となります。
  • 粉体や溶液中での粘弾性測定が可能です。
  • ひずみ依存性の測定が可能です。

仕様

  • 装置:ティー・エイ・インスツルメント社製 RSA-G2
  • 試験モード:引張、曲げ、圧縮
  • 測定対象:フィルム、板、粉体など
  • 測定環境:不活性ガス雰囲気、液中など
  • 測定温度:-150~600℃
  • 周波数:2×10-5~110Hz
  • 動的荷重:0.5mN ~ 35N
  • 変位量:50nm ~ 1.5mm

測定例

球状試料(架橋アクリル樹脂)の測定

球状試料測定概念図
球状試料測定結果:貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接

引張やずりモードで測定できない球状試料の粘弾性が測定できます。
粘弾性の温度依存性を測定することで、架橋状態に関連する緩和現象を確認できます。

水中でのポリビニルアルコールフィルム(75μmt)の測定

水中でのPVAフィルム測定概念図
水中でのPVAフィルム測定結果:貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接

水などの液体中での粘弾性が測定できます。
水溶性高分子であるポリビニルアルコールは水中では貯蔵弾性率が大きく低下することが確認できました。

用途

  • ガラス転移温度の測定
  • 結晶化、結晶変態のような現象の検出
  • ポリマーブレンドの混合状態の解析
  • マスターカーブの作成

規格例

JIS K 7244 「プラスチック-動的機械特性の試験方法」

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