比誘電率・誘電正接試験 自動平衡ブリッジ法

概要

プラスチックをはじめとする絶縁体は例えば電気機器の回路基板に用いられますが、誘電特性は電気回路の設計や電力の設計に必要なパラメータです。比誘電率・誘電正接試験(平衡ブリッジ法)は材料のインピーダンスを測定し誘電特性を評価する方法です。誘電特性は材料の分子構造や運動性、集合状態などにより決まる特性のため、回路設計のみならず材料開発にも有益な情報を得ることができます。

試験方法と測定例

原理

試料に導電性ペーストなどにより図のように電極を作製することによりコンデンサを構成し、測定周波数fにおける容量CとコンダクタンスGを測定します。

測定された値と電極面積Aと試料厚さd、真空の誘電率ε0を用いて比誘電率εr、誘電正接tanδを算出します。

測定はブリッジ回路と呼ばれる回路を用いているため難しい回路調整の必要がなく、精度のよい測定が可能です。

周波数特性測定とともに温度依存性の測定が可能です。

誘電率測定試料の電極形状と誘電率の算出式

特微

  • 材料に交流電圧を加え、交流抵抗を測定します。
  • 自動平衡ブリッジ法を用いたLCRメータで測定することで確度の高い交流抵抗測定が可能です。
  • 広範囲での温度領域での測定が可能です。

測定範囲

  • 温度:-80 ~ 200℃
  • 測定周波数:100Hz ~ 1MHz(LCRメータ)

測定例

回路用基板材料の誘電周波数特性測定

回路用基板材料の誘電周波数特性
図_回路用基板材料の誘電周波数特性

ポリイミドフィルムの誘電温度特性測定

試料:ポリイミドフィルム125μmt
試験方法:LCRメータによる誘電率試験
測定周波数:1kHz、10kHz、100kHz、1MHz
測定温度:-80 ~ 200℃

ポリイミドフィルムの誘電温度特性
図_ポリイミドフィルムの誘電温度特性

ポリイミドフィルムでは-40℃、200℃付近に分散が観測され、温度依存性の大きい試料であることが分かりました。

用途

比誘電率・誘電正接の測定

サンプルサイズ

大きさ60mm × 60mm(標準)、厚さ2mm以下

規格例

JIS C 2138 「電気絶縁材料-比誘電率及び誘電正接の測定方法」

IEC 62631-2-1 「Dielectric and resistive properties of solid insulating materials - Part 2-1: Relative permittivity and dissipation factor -」

ASTM D 150 「Standard Test Methods for AC Loss Characteristics and Permittivity (Dielectric Constant) of Solid Electrical Insulation」

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