絶縁破壊試験
概要
絶縁体に高電圧を印加するとその電気エネルギーにより絶縁破壊をおこし絶縁体としての機能を失います。絶縁破壊試験は、材料が絶縁破壊するまで電圧を印加することで電気的な強度を評価する方法です。どんなに抵抗率が大きな材料であっても電圧に対する電気的な強度が大きくないと信頼性を維持することはできません。高温での測定にも対応しており、過酷な条件で使用されるような電気機器の絶縁材料の評価に適しています。
試験方法と測定例
原理
絶縁体に電界(または電圧)を印加していくと電流が急増し、破壊します。
この現象を絶縁破壊といいます。
絶縁破壊(絶縁耐力)試験には以下の2種類があります。
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短時間試験(ショート)
電圧を0Vから一定の速度で上昇させ、絶縁破壊電圧を測定します。 -
段階昇圧試験(S/S)
最初に短時間法の40%の電圧を20秒印加し、規定に従い逐次電圧を上げ、20秒印加しても破壊されない最も高い電圧を求めます。

特微
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AC 100kVという非常に高電圧までの電圧印加が可能です。
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JIS,IEC,ASTMといった規格に準拠した球状や円柱形など各種電極形状での評価が可能です。
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高温での測定が可能です。
測定範囲
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温度:-40~200℃(絶縁油中)
※低温(-40℃~室温)の試験は、10kV以下で破壊する試料が対象となります。 -
測定レンジ:AC100kV(50Hz) 5kVA
測定例

用途
絶縁破壊電圧(固体、液体)の測定
サンプルサイズ
大きさΦ100mm(標準)、厚さ5mm以下
規格例
JIS C 2110-1 「固体電気絶縁材料-絶縁破壊の強さの試験方法」
ASTM D 149 「Standard Test Method for Dielectric Breakdown Voltage and Dielectric Strength of Solid Electrical Insulating Materials at Commercial Power Frequencies」
高温での絶縁破壊試験
SiCやGaNなどパワー半導体の利用拡大により、デバイスに使用される部材の高温での絶縁破壊試験の必要性が高まっています。
デバイスの設置環境温度にデバイス自体の発熱が加わるとその温度は200℃にもなりますが、
住ベリサーチでは測定治具を改良し最高温度200℃での試験に対応しています。
下図は異なる温度で絶縁破壊電圧を測定した例です。
ガラスエポキシ積層板では150℃→200℃で絶縁破壊電圧の低下がみられました。

フィルム絶縁性の厚さ依存性測定
同じフィルムの異なる厚さに置ける絶縁破壊電圧を測定した例です。
試料の厚さとともに破壊電圧が比例して大きくなっているのが分かります。

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関連試験のご紹介
最高200℃での絶縁破壊試験が可能です。
- 規格・試験法
- JIS K 6911 JIS C 2110 ASTM D 149