引張試験
概要
引張試験は、試料に破断するまで制御された張力をかけ、試料の引張強度、応力、降伏点、伸び、歪などの機械的性質を測定する試験です。それらの測定値から、応力ひずみ曲線(SSカーブ)、引張弾性率(ヤング率)、ポアソン比、降伏強さ、加工硬化特性などが算出され、機械製品を設計開発するときの材料の強度計算に使用されます。プラスチックは身近な日用品をはじめ、自動車、パソコンなど様々な場所・環境で使用されており、状況に応じて変形、劣化などを引き起こします。プラスチックは諸性質が時間及び温度によって著しく変化するため、温度および引張速度を広範囲に変えて行われる引張試験は、材料の強さや破壊を知るために有用です。CAEと呼ばれる数値計算を行う際に最も基本的な特性として引張弾性率が必要であり、引張試験を行うことで把握することが可能です。
試験方法と測定例
原理
引張試験は高性能サーボモーター制御によりクロスヘッドを一定速度で移動させることにより、材料に発生する応力、ひずみを計測します。
特徴
-
伸び計(接触式、非接触式)、ひずみゲージなどを使ってより精密に測定できます。
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恒温槽の使用により-150℃~+350℃までの評価が可能です。材料の温度依存性データの取得が可能です。
仕様
装置:エー・アンド・デイ社製 テンシロン




試験片
一般プラスチックの場合:JIS K 7161-2 (ISO 527-2) , JIS K 7127 (ISO 527-3)等に準拠もしくは短冊形試験片


※ JIS規格以外のものも可能。引張弾性率(ヤング率)、ポアソン比はひずみゲージを試験片に貼り付け測定します。
※ フィルムの場合は、JIS K 7127(試験片タイプ5)に準拠します。
※ 規格に則った試験以外にも、製品形状、試料状況に合わせた試験にも対応します。
測定例1
ポリカーボネート引張試験
- 試験規格
- JIS K 7161-1、-2
- 試験環境
- 23℃±2℃、50%RH±10%RH
- 試験片形状
- JIS K 7161-2 1A形試験片
- ひずみ測定
- ひずみゲージ法(ヤング率、ポアソン比)非接触法(引張強度)


測定例2
ポリプロピレン 引張試験
- 試験規格
- JIS K 7161-1、-2
- 試験環境
- 23℃±2℃、50%RH±10%RH
- 試験片形状
- JIS K 7161-2 1A形試験片
- 引張速度
- 10, 20, 30, 40, 50 mm/min.

引張速度の低下と共に強度は低下、伸びは増加しています。プラスチック材料は時間、温度および熱履歴によって物性が変化するため、温度および引張速度の広い範囲にわたって引張試験を行うことは重要です。
用語
- 引張応力
- 試験片に加えられた引張荷重を、試験片の標線間内の元の断面積で除した値。

- 引張降伏応力
- 荷重-伸び曲線上で、荷重の増加無しに伸びの増加が認められる最初の点における引張応力。
- 引張強さ
- 引張試験中に加わった最大荷重を試験片の標線間内の元の断面積で除した値。
引張強度とも呼ぶ。 - 引張破壊応力
- 試験片の破壊時における引張応力。
- 標線間距離
- ひずみを測定する目的で試験前に試験片の平行部に付けられた二つの標線の間の距離。
- ひずみ
- 標線間距離の増加量を元の標線間距離で除した値。

- つかみ具間距離
- つかみ具間の距離。
- 呼びひずみ
- つかみ具間距離の増加量を元のつかみ具間距離で除した値。

- 引張降伏ひずみ
- 引張降伏強さに対応するひずみ
- 引張強さひずみ
- 引張強さに対応するひずみ
- 引張破壊ひずみ
- 引張破壊強さに対応するひずみ
- 引張比例限度
- 応力とひずみの関係が直線関係(比例関係)から離れ始める時の引張応力。
- 降伏点
- 永久ひずみを生じることなく材料にかけられる最大の地点における引張応力。弾性限度とも呼ぶ。
- 引張弾性率
- 規定された2点のひずみに対する応力ひずみ曲線の傾き(JIS K 7161-1)
引張比例限度内における引張応力とこれに対応するひずみの比。
引張応力-ひずみ曲線に直線部がない場合には、変形開始点における接線の傾き。
この値が大きいほど一定荷重に対する変形が小さい。
ヤング率、縦弾性係数とも呼ぶ。

- ポアソン比
- 弾性限度内における引張ひずみ(縦ひずみ)とこれに直行する横ひずみの比。

用途
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引張特性(弾性率、上降伏点、下降伏点、引張強度、破断、強さ、伸び量、ポアソン比など)の評価
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数値シミュレーション用物性評価
規格例
JIS K 7161-1 「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」
JIS K 7161-2 「プラスチック-引張特性の求め方-第2部:型成形、押出成形及び注型プラスチックの試験条件」
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